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当事者インタビュー

ADDタイプ(不注意優勢型ADHD)の当事者にインタビューして、日々の悩みや活用しているライフハックを聞いて来ました。生きづらい世の中を少しでも生きやすく!

ADHD不注意型臨床検査技師。将来は起業したいです!

当事者インタビューD-labさん

D-labさん

@wataru_lab

2021.02.19

ADHD/吃音だった/臨床検査技師。どうしたら楽して生きれるか考えてます。

医療職に携わるイケメン。D-labさんにインタビューしてきました!

子供の頃はどんなお子さんでしたか?

落ち着きない子供でしたね。基本的に勉強に興味が無かったので授業中に立ち上がってウロウロしていました。退屈だと駄目なんですよ。大好きなご飯は立ち上がる事なく集中して食べていましたがね(笑) 忘れ物も酷かったです。小学校はバス通学だったのですが、バスの中にランドセルを置き忘れて度々ベソをかいていました。未だにカバンや財布を電車の中によく忘れるので子供の頃と全然変わってないですね(笑) 昭和生まれの僕が子供の頃は「発達障害」という概念が無かった時代なので「変わっててだらしない子」という目で見られる事が多かったですね。

(筆者とD-labさん年齢が近い) あの当時は発達障害医師も診れませんしね〜

不思議なのは両親や親戚を見ても発達特性を持っている人が一人も見当たらないんですよ。僕だけ突然変異なのかもしれません。当時の僕は吃音も持っていて、子供の時はあまり気にしていませんでしたが思春期以降はコンプレックスになりましたね。両親は共働きで時間が無い中、一人っ子の僕をとても可愛がってくれたと思います。鈍感でミスが多い子供でしたが叱らずに愛情を込めて育ててくれました。

吃音はどうやって治したのですか?

吃音がどんな時にどんな状況で出てしまうのか原因を掴み、その状況が起こらないように務めました。発達界隈の人見てると「悩んでいるけど何も工夫していない」人が圧倒的に多い気がして勿体無く感じますね。

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確かに受け身な方が多い印象ですね。学生時代の人間関係についてはどうだったでしょうか?

友達は多くなかったですね。今も付き合いがあるのは中学の友達2人程度です。生活圏によって友達が変わってしまう方で出不精なので環境が変わると友人と疎遠になってしまうんですよ。

そのパターンありますよね。部活には所属されていましたか?

中学時代はバスケットボール部に所属していました。部活のメンバーとはそれほど仲が良い訳ではありませんが、一人で黙々と打ち込むシュート練習は大好きでしたね。ADHDのこだわりだと思うのですが、ボールの角度と放射線軌道を綿密に調整してシュート率を確実に上げて行きました。中学は部活が強制だった為、とりあえずバスケットボール部に入った形ですが基本的に出不精なので高校以降は帰宅部です(笑)

進学先に臨床検査技師の学校を選んだ理由は何故ですか?

僕、本当は芸能人になりたかったんですよ。高校生の時にジュノンボーイコンテストで50位以内に入ってました。写真審査で一次も二次も通っていたのでご縁があったんだと思います。他の人がダンスなどのパフォーマンスで一生懸命身体を使ったアピールしている中で僕は指文字という耳が聞こえない人が使う手話の一種を披露しました。最後の10人に残れなかったのが無念でしたね。芸能人以外に特にやりたい事が見つからず、吃音にも悩んでいたので人と関わらない仕事を希望していました。親戚に臨床検査技師が居てオススメされたので進学先に選んだ形です。実際は人と関わる事がめちゃくちゃ多いんですけどね(笑)

就職活動はどうでしたか?

高校までは全く勉強しなかったのに技術を習得する事がゴールの専門学校ではずっとトップの成績でしたね。目的があるとやはり強いのだと思います。臨床検査技師は国家資格なのですが、試験でも過集中でゾーンに入れた為、無事合格する事が出来ました。 卒業後にも関わらず就職も順調に決まりましたし、学生時代は自分が発達障害など思ってもみませんでした。視覚優位で聴覚記憶が弱い為、先生の指示に聞き漏らしなどが後々の仕事に響いてくるのですよね。

実際のお仕事をされて大変だった事は何でしょうか?

臨床検査技師はADHDは絶対向いてないと断言出来ますね(笑)。事務仕事も多くて細部まで気を配らなくてはならない機会が多く、実際僕も何度も転職しています。仕事で使う用品の管理が難しく、患者の血液を今まで3回失くした事があります(笑)。歩きながら考え事をしていたら病院内の何処かに置いて来てしまったんですよね。1回探しても本当に出て来なかった事があり院長にキツく叱られました。

医療職だとそんな失くし物があるんですね(笑)

はい。あと業界特有の大変な事は口頭でのやりとりが多い事ですね。IT業界などと違ってチャットやSlackなど普及していませんし、口頭指示が覚えられないので常に録音機を持ち歩き必要な時に録音と再生を繰り返して記憶の定着を図っています。暗にイジメがあったり仕事を教えてくれないなどが重なって10年間転職がで7回になってしまったのが後悔するところですね。新卒の頃よりも最近の方が就職には苦労しています。去年の4月に退職してから新たな就職先を探したのですが、約50社受からなかったんですよ。年齢に対して転職が多すぎるし、コロナもあって中々内定が出ず辛い日々でした。普段病院に来ていたお年寄りが自粛で病院に来てくれないのも内定が出づらくなった原因の1つだと思います。

精神科に行ったきっかけは何だったのでしょうか?

コンサータが承認された時に同じ職場の薬剤師からADHDの素晴らしい薬が出来たと聞いて診療内科に行ったんですよ。多分、彼は僕がADHDの事に気づいて情報をくれたんだと思います。コンサータを飲み始めてからだいぶ頭がクリアになりましたね。効いている事が自分自身でも実感出来ました。ストラテラも試しましたがマイルド過ぎて自分自身での効果は解り辛いですよね。最近は飲んでいないですが。

薬を飲んでない理由って何かありますか?

薬を飲んでいる時にのアイディアはつまらないんですよね…僕ADHDに関しては悲観的な気持ちは無いんです。吃音で良い事は一つも無かったけど、ADHDには良い面がたくさんありますから。薬を飲んでいないと事務能力は下がった気がしますが、ADHDの発想力を薬で殺すのは勿体ないと思っています。病院に毎月通うのが面倒で放置してたので、もう半年くらい行ってません(笑)

ADHDで良かった事は他にもありますか?

意見をする時に人と違った角度で発言出来るところでしょうか。アイディアを考えるのは趣味なので日常的に仕事の解決方法を考えています。いろんな事を考えられるのは不注意のおかげだと思っているし、過集中にも日々助けられています。僕は自身が会社員に向いていないと思っているので起業したいんですよ。

事業アイディアは何かあるのでしょうか?

「副業をする為にスキルをつける学校」なんかがあったら良さそうですね!IT系以外の人ってなかなか副業自体が現状は難しいじゃないですか。これからの時代副業して行かないと生きていけないですからね。あとは仮想空間でショッピングに行けるバーチャル店舗なんかも楽しそう!問題は実現可能のハードルが高い事ですね。

面白そうですね!起業したいADHDの方は多いですよね。人生の中で影響を受けた人はどなたでしょうか?

これも起業家なんですけど、松下幸之助さんと西村博之(2ちゃんねる創始者)さんですね。 松下さんは「社長としての心構え」という意味で尊敬しますし、博之さんは松下さんと相反していて今の時代に合っている社長で刺激になりますね。

ご自身が起業されるとしたらどのようなビジネスモデルを目指すのでしょうか?

僕が在宅勤務と相性が良いのもあり、事務所を持たずに各自の家で進められるような仕事が良いですね。オンライン上の手数料モデルで仕組み作りの方に注力したいと思います。双方良しのプラットフォームサービスを作りたいですね。

今困っている事は何ですか?

人を怒らせる事です。本当のことを言ってるだけなのに怒られてしまいます。 オンライン上で「吃音者はモテない」ってツイートしてる人がいたんですよ。「僕はモテたよ。吃音なんて関係無い!」とリプしたらブロックされたのでビックリしましたね。ちょっと性格が捻くれ過ぎだと思います。特性だからか冗談通じない人が多くて迂闊な事を言えない感じになりましたね。

あ〜、オンライン上は本当に色々ありますよね。オフラインでは如何ですか?

オフラインでもありますね。こないだ上司を怒らせたのはテレワークの頻度を上げたいと提案した時です。会社としてはパフォーマンスや顧客対応の問題でテレワークはあまり推奨しない方針のようで上司と噛み合わなかったのを覚えています。上司は昔の人間なので「出勤してこそ仕事」という持論を持っていて僕とは色々合わないな〜と感じる事が多いですね。

なるほど。将来の展望を教えてください!

会社のために頑張るのなら自分のために頑張りたいので起業をすることが目標です。 現段階で具体的に言えることはありませんが、ニーズがありそうで、僕が楽しいと思えることを創りあげていきたいです。ADHDであることでマイナスなこともありますが、結局は楽しいと思えたもの勝ちな気がしていますので、楽しいことを追求していきたいと考えてます。

ありがとうございます!医療職の大変さから将来の展望まで色々ありがとうございました!

編集後記

インタビュー時残念ながらカメラオフでイケメンのお顔が拝見出来なかった事が今回最大の無念である(笑)。冗談はさておき、医療職×ADHDの難しさがやはり浮き彫りになったインタビューだった。職業柄の細かさに加え、環境調節の難しさなども原因の一端では無いだろうか。発達のより良い未来の為に筆者もD-labさんの未来を応援したい