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私はこうして障害年金の給付に成功しました

一度、審査に落ちると受給する事はほぼ不可能と言われている障害年金 社労士に頼んで成功した人、自身で書類を作成し成功した人まで様々な当事者のお話を聞いてきました! 社労士にお金を掛けず障害年金を自身で受給する事を目指しましょう!※国民の税金から出ているお金です。不正受給は絶対に辞めましょう!

【障害年金インタビュー】会社に在籍しながら障害年金を取得出来ました。悩んでる人は社労士に頼んでも良いと思います

障害年金人物画像

A・Rさん

40代前半 男性

障害年金はいつどのような形で受給しましたか?

2010年に会社に在職中ではあるものの、傷病休業中で就労不能という点を評価されて、障害厚生年金の3級を受給しました。3年前に、腕試しと興味本位で自力申請したことはありましたが、障害内容が発達障害単体であったこと、苦労や困難はあったとしても結果的に就労が出来て働けていた点を非該当と判断されてしまい、結果的に不支給決定に至りました。その時は、申請の経験を得ること自体が目的だったので、「なるほど、この程度の内容だと不支給になるのだな」という気持ちだけでした。一方、今回は前回と違って確実に給付を得る事が目的だったので、社労士を通じて申請しました。

社労士を使った感想はいかがですか?

使って良かったと思っています。次の以下の点においてパフォーマンスに優れているからです。

①医者に診断書修正の要望をかなり細かく書いてくれる
医者は、診療は出来ますが、障害年金の診断書、特に通すための診断書の書き方には慣れていない方が大半です。また患者から記載内容や表現の修正依頼をしても、”医者と患者”とい う関係性が影響を及ぼす場合があります。前回の申請時には患者からである私から、何か所か修正依頼をした項目がありました。

しかし指摘内容が正当であったとしても、患者から指摘されることへの抵抗感から、何かと理由をつけて修正を拒まれてしまう場合がありました。提出先の年金事務所から、主治医に直接診断書の誤記を電話で指摘されることすらあったのですが、それでも「これまでこのやり方でやって来たから問題ない」と修正に応じてもらえませんでした。 今回は社労士に同席して頂いて、主治医、患者、社労士の三者面談の形式で、診断書の記載 内容の修正依頼を行って頂きました。今回も主治医は最初、抵抗感を示していたのですが、 社労士から何故修正が必要なのか、修正しないで申請した場合の予想される結果、過去の実 績や根拠となる具体的な法令などを説明して、主治医に反論の余地を与えず修正せざるを得 なくしてくれました。横で聞いていて、診断書を修正させるための交渉技術は非常に参考になりました。

② 病歴・就労状況申立書を代筆してくれる
発達障害の場合は、生まれてから今に至るまでの精神科の病歴、生活上の困難さをかなり綿 密に書かないといけないです。私に限らず障害当事者の方は、紆余曲折を経て自身の障害を 受容し、障害があっても前向きに生きていこうという気持ちになっているかと思います。

一方で病歴・就労状況申立書の作成は、結果的にこれを全否定する行為になります。これまで の自分の過去を全て振り返り、様々な苦労、失敗経験などを拾い上げ、物心がついてから現 在に至るまでにおいて、社会生活を送る上で自分の能力がいかに劣っており、就労不能出来 るレベルに無いということを強調して表現しなければなりません。記憶から消したい過去の トラウマエピソードを全て拾い上げ、さらにそれを強調して表現しなければなりません。
私が3年前に自力申請した際は、病歴・就労状況申立書を書き上げた頃にはかなり、メンタル的に落ちてしまい、その後しばらくはトラウマエピソードのフラッシュバックに悩まされる結果に至りました。確実に体調を崩してしまうと断言していいと思います。
今回は前回私が自力作成した書類をベースに、社労士にアップデートしてもらいました。最終的に内容の事実確認は必要なので、一度は自分で目を通したり修正依頼したりする場合もあるのですが、一から自分で起票するよりは遥かに精神的な負担はかなり少ないです。A3両面で3枚びっちり記載された申立書が上がって来た時は依頼して良かったと思いました。

③ 落ちたり、等級が低かったりした時のサポート
成功報酬制の事務所が多く、申請の成功実績をパーセントで掲げている社労士が多いです。 初回相談は無料の場合が多いのですが、実態としては依頼者からの内容を社労士が事前審査し、自分が受けるべき案件か、通る見込みが無い案件かを判断するためのもので、相談者のためを思ってのものではないのだなと感じましたが、通る見込みのない案件は、依頼者が頼み込んでも受けてくれません。障害等級が見込みより低かった場合は、自分の実績業績に影響してしまうので、必死になって挽回しようと努めてくれます。

なるほど。自分でやって失敗した時はメンタル削られますもんね。

そうですね。自分で事前情報を集め、自分で書類準備が出来る知識をつける準備段階で相当な時間と労力がかかりました。そして先述の病歴・就労状況申立書の作成で、メンタルはどん底まで削られるし、初診の主治医からはやっても無駄だと否定的な言葉を投げかけられるし、現在の主治医は思った通りの診断書を書いてくれず、修正依頼しても何かと理由をつけて断られるなど、精神的に辛い経験ばかりでした。
自力申請するための準備に書ける時間は、自分で自分に時給を払っているようなものです。前回の作成時で自分が費やした全ての総合計時間を時給換算すると、私の場合は社労士に依頼するのにかなり近い金額まで行きました。自分で申請すると、確かに達成感はあり、感無量であるのは同意しますが、本来はその作業時間で他にもっと有意義なことが出来たのでは……という考え方も出来ます。考えは人それぞれですが、私の場合は前回で自己申請の経験は十分に得られたので、社労士にお金を払って丸投げしてしまう方がスマートだという結論に至りました。

精神障害の場合等級が何級と判断されるかは2016年に厚生労働省の「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」にて等級・非該当の判断基準となるガイドラインが設定されました。原則このガイドラインにそって、一旦仮判定されます。その後、障害年金診断書等に記載される他の要素も含めて補正をかけ、総合的に評価した結果が最終的な認定結果となります(表1)。

縦軸が診断書の日常生活能力の判定を平均スコア化したもの、横軸は日常生活能力の程度です。これをベースに、他の項目の記載内容で補正がかけられ、最終的な等級が決定されます。今回の私のケースでは、判定平均は3.29、日常生活能力の程度は(4)なので、この点では明らかに2級であるべきなのですが、何らかの理由によって3級として年金給付が決定されてしまいました。恐らく診断書の他の記載内容でもって、大幅な補正が加えられてしまったのだと推察します。

障害等級の目安 またガイドライン設定後のフォローアップ調査として、新規裁定において実際の等級判定がどう なされたか、令和元年度決定分の状況を調査した資料がこちらにあります。

ガイドライン区分 これを見ると新規裁定全体において92.1%がガイドライン通りの等級認定となり、更に今回の私のケースである判定平均は3.29、日常生活能力の程度は(4)の場合は、実に95.4%が2級として判定されていることとなります。95.4%がそのまま2級と判定され、その根拠となる福祉サービスの利用実績なども十分あるにも関わらず、残り4.6%に弾き出されるだけの補正理由が分かりません。

【参考資料】障害年金の業務統計等について

今後の対応としては、1. 内容を不服として速やかに審査請求をかける、2. 支給決定から1年待った後、障害の度合いが申請時よりさらに悪化しているとして等級の改定請求をする、というふたつの手段があります。ただいずれにせよ、一番重要なのは「今回、何故3級として判断されたのか」を正確に把握することです。それを把握するためには「障害状態認定表」の入手が必須です。現在保有個人情報開示請求を申請しており、請求の決定通知を待っているところです。

保有個人情報開示請求という制度があるのですね。

保有個人情報開示請求はあくまで、個人情報を開示させてくれという請求のみです。今回は申請時の提出書類と関連添付資料一式と、障害状態認定表を請求しました。障害状態認定表が、判定理由を知る事が出来る唯一の手段となります。開示請求には手数料として300円の収入印紙が必要となります。

請求した結果許可が下りれば、厚生労働省から「保有個人情報の開示をする旨の決定について(通知)」という文書が、厚生労働大臣から届きます。私は開示請求が通りましたが、何等かの理由で不開示とされる場合もあるようで、「不開示とした部分とその理由」という欄もあります。私の場合は開示請求が通っているので、この欄には「なし」としか書かれていませんでした。ニュースでたまに聞く、開示請求した結果、出された資料が殆ど黒塗りにされている、通称「のり弁」と言われるものが、このパターンなのだろうと推測します。

保有個人情報の開示決定がされて、ようやく資料請求が出来ます。決定通知に同封されている「固有個人情報の開示の実施方法等申出書」があり、これを厚生労働省に530円分の切手と共に厚生労働大臣宛てに返送し、ようやく障害状態認定表が、申請当時の資料一式の写しと共に、簡易書留で送付されます。受け取るまでだけで、非常に煩雑な手続きです。

申請書は書き方が大事なようですね。たった1文で通る通らないが決まる事もあるようです。

ネットで個人請求された方の体験談では見かけないので、あまり知られていないようです。なぜ自分の想定より等級が下がったのか、不支給の決定に至ったのかを正確に把握していないと、その後再審請求をしたとしても、結果は変わりません。そのため、保有個人情報開示請求をした結果開示される『障害状態認定表』の入手と分析が極めて重要になるわけです。このアドバイスは社労士から教えてもらいましたが、それまでそういう方法があること自体知りませんでした。
私も今回、3年振りに申請をするにあたり、まず初めに前回は何故不支給の決定になったのかを調べてもらいました。前回の申請では判定平均が2.29、日常生活能力の程度は(3)なので、そこだけ見ると3級で通るものだと思っていました。

障害状態認定表を取り寄せた結果、日常生活能力の程度が×、就労状況が×と書かれていました。ガイドライン上では3級該当だったものの、他の項目を精査した結果補正が入り、支給の必要無し、と判断されてしまった、ということが分かりました。特にフルタイムで働けていること、というのは相当不利に働いてしまうようです。また日常生活もギリギリ何とかなっていたレベルだったのですが、ギリギリとは言え、何とかなってしまっていたので、今は申請を通る、通らない、の相場感覚が自分でもより分かるようになりました。

評価ポイントに関しては実績があった方が良いのでしょうか?

評価ポイントの捉え方なのですが、申請者が現在どれだけ困っているか、苦しい思いをしているかなど、そのような情に訴えるような内容は一切無視されるので、それを前提として理解しておいて下さい。

客観的な事実、実績の積み上げのみで評価されます。在宅のみより直近(申請の3か月以内)で入院歴がある、もしくは長期入院中であるとか、また一人暮らしより家族と同居している方が、同居していないと生活が回らないという評価になります。評価ポイントの捉え方なのですが、申請者が現在どれだけ困っているか、苦しい思いをしているかなど、そのような情に訴えるような内容は一切無視されるので、それを前提として理解しておいて下さい。

客観的な事実、実績の積み上げのみで評価されます。在宅のみより直近(申請の3か月以内)で入院歴がある、もしくは長期入院中であるとか、また一人暮らしより家族と同居している方が、同居していないと生活が回らないという評価になります。

私の場合、前回と比べて評価ポイントとして加算されたのは「日常生活の困難さ」については障害支援区分の認定を受けて、居宅介護の福祉サービスを受けていた、というのが大きかったと思います。週に2回、介護ヘルパーさんに入ってもらい部屋掃除を受けていました。これが第三者の福祉支援を受けないと生活が出来ないと評価してもらえたのだと思っています。居宅介護を受けるには特定計画相談支援を受けて、定期モニタリングが必要になるので、自ずと外部からの見守りが必要な程、日常生活が困難であると証明することが出来ます。自分の普段の生活がいかに大変かを、病歴・就労状況申立書で語っても、いくら本人が大変であっても結局は自力で生活出来ているじゃないか、と判断されてしまうようです。自己努力や苦労をアピールするのではなく、自分には能力がないと早々に見切りをつけて、積極的に社会資源を巻き込んで、地域に支えられて何とか生活している、という姿勢を見せた方が、評価としては高いようです。

「就労の困難さ」についても同様の傾向があるようです。障害者雇用で会社から合理的配慮などの特別条件を受けている、外部のジョブコーチを利用しているなど、就労に大きな問題を抱えている場合、3級とされるはずなのですが、実態は就労不能以外、全て「何かしらの工夫は必要ではあるが結果的に就労が出来ている」と判断されてしまい、最近の傾向として、就労中は基本的にはその段階で自動的に不支給決定送りになるようです。そのため就労不能としては、失業中が一番支給決定にはつながりやすいようです。但し失業中であったとしても、就職活動中である旨を書いてしまうと、就労に向けて前向きになれる程状態が回復していると判断され、不支給とされるケースもあったと聞きました。次に会社には在籍しているものの、長期的に就労不能になってしまい傷病休業など長期で休業しているケースも通りやすいようです。

私の場合、前回と比べて評価ポイントとして加算されたのは「日常生活の困難さ」については障害支援区分の認定を受けて、居宅介護の福祉サービスを受けていた、というのが大きかったと思います。週に2回、介護ヘルパーさんに入ってもらい部屋掃除を受けていました。これが第三者の福祉支援を受けないと生活が出来ないと評価してもらえたのだと思っています。居宅介護を受けるには特定計画相談支援を受けて、定期モニタリングが必要になるので、自ずと外部からの見守りが必要な程、日常生活が困難であると証明することが出来ます。自分の普段の生活がいかに大変かを、病歴・就労状況申立書で語っても、いくら本人が大変であっても結局は自力で生活出来ているじゃないか、と判断されてしまうようです。自己努力や苦労をアピールするのではなく、自分には能力がないと早々に見切りをつけて、積極的に社会資源を巻き込んで、地域に支えられて何とか生活している、という姿勢を見せた方が、評価としては高いようです。

「就労の困難さ」についても同様の傾向があるようです。障害者雇用で会社から合理的配慮などの特別条件を受けている、外部のジョブコーチを利用しているなど、就労に大きな問題を抱えている場合、3級とされるはずなのですが、実態は就労不能以外、全て「何かしらの工夫は必要ではあるが結果的に就労が出来ている」と判断されてしまい、最近の傾向として、就労中は基本的にはその段階で自動的に不支給決定送りになるようです。そのため就労不能としては、失業中が一番支給決定にはつながりやすいようです。但し失業中であったとしても、就職活動中である旨を書いてしまうと、就労に向けて前向きになれる程状態が回復していると判断され、不支給とされるケースもあったと聞きました。次に会社には在籍しているものの、長期的に就労不能になってしまい傷病休業など長期で休業しているケースも通りやすいようです。

会社に在籍していても障害年金申請は通るのでしょうか?

厚生年金なので通った可能性はありますね。実は私が障害年金の申請をした段階では、傷病休業中で長期に渡り就労不能の状態にあったことは事実ではあるのですが、傷病休業の内訳が年次有給休暇と、会社の独自制度である「多目的有給休暇」を使用している最中だったので、そもそもまだ有給休暇中でした。

その後、障害年金請求の結果待ちの間に手持ちの有給休暇を使い切り無給になりましたが、無給になってからは傷病手当金が健康保険組合から67%相当支給されます。更に弊社の健康保険組合は独自に傷病手当付加金がプラス30%加算される特別な環境だったので、生活には困りませんでした。合計87%であるこの根拠は、所得税や社会保険などの諸経費を抜いた手取りの相場が、大体基本給の87%であるからだそうです。傷病手当金は土日祝日などの非稼働日分も支給されるので、弊社の月給に限って言うと、働いていた時より月収が上がる人もおられるのでは無いかと思います。但し補償は月収のみです。賞与については当然、健康保険組合からの支給はありませんので、年収として捉えると、確実にかなりの減額になってしまいます。但し、会社によってここら辺の制度は変わってくるので、詳細は自社の人事労務規定を確認する、人事部門にお問い合わせするなどしてみて下さい。私の場合、夏のボーナス時はまだギリギリ休職前なので満額支給、冬ボーナスは休職中なので、休職者には一律月給の20%分だけ支給はされるようです。

※弊社の傷病休業、傷病休職の制度について
傷病による連続7稼働日以上の休業の場合、傷病休業となる。傷病休業の内訳は、1. 残存年次有給休暇、2. 有給多目的休暇40日、3. 無給多目的休暇30日(無給ではあるが、出勤率としてはカウントされるので賞与計算には影響されない)、4.病気欠勤、5. 病気欠勤が6か月連続で続くと、ここを境に傷病休業から傷病休職になる。最大2年間。傷病休職中に復職出来ないと、期間満了退職となる。

傷病手当金と障害年金は両方満額頂けるのでしょうか?

傷病手当金は障害年金を受給していると、受給相当額は減額されてしまいます。休業中は障害年金の資格を取るには有効ですが、金額面で考えると得はしません。障害年金の主旨が働けない人への救済措置という側面があるので、健康保険組合から傷病手当金が貰えているのであれば障害年金との二重取りは出来ないという考え方のようです。
ちなみにこのルールについては、社労士はこの事実は当然把握をしていたのですが、私と初回面談をした際は、まだ私の見た目が比較的元気そうだったのと、私自身も有給休暇の傷病休業のみで復職するつもりで、障害年金と月給の二重取りを期待していました。双方共にそんな認識だったので、特に懸念点として指摘をしなかったようです。自分が実際に長期休業に入ってから、体調不良が当初の想定より、遥かに根が深いと気付き、申請のタイミングを見誤ったなと思いました。今回、受給決定自体は成功したものの、唯一失敗点と言える内容です。

なるほど。やはり減額されてしまうのですね。社労士に払った金額はいくらでしたか?

私のところは成功報酬制で想定等級より低かったとは言え裁定請求自体は通りました。契約締結時に 着手金30000円、成功報酬は年金の2ヶ月分と書かれているのですが、最低保証額は 120,000円x消費税とちゃっかり(笑)書かれているので132,000円です。 本来は2級が取れる内容にも関わらず3級になってしまった点については悔しい思いはあります。しかしだからと言って、審査請求をすると追加料金が発生してしまいます。私の場合、2級になっても1級になっても、月々の傷病手当金の方が圧倒的に高額です。自己満足のために追加料金を発生させて更に赤字が拡がってしまうのもどうかと思うので、悔しさはありますが審査請求はしないつもりです。
ただこの後入手する「障害状態認定表」を分析して、何が原因で3級となったかは精査したいと思っています。1年後の自分の病状を見て、回復していないようであれば、今回社労士の仕事振りを横目で見た知識を使って、自分で等級の改定請求をしようか、漠然とは考えています。
だた社労士自身は、今回は当然2級が取れるつもりでいたようです。成功報酬が最低保証金額になってしまうのは自身が納得していないので、何かしらの対抗措置を考えているところだと思います。こういった点については、社労士の方が裏技的なテクニックや、社労士同士での勉強会などで知識をつけているので、個人ではかなわないと思います。

障害年金を受ける上での懸念点はありますか?

障害年金が受給出来たとして、今後は「障害状態確認届」という受給更新用の診断書を、更新年の誕生月末日までに提出し続けなければなりません。精神障害は1-2年更新が多く、私の場合は1年となっていました。初回は1年更新となる場合が殆どのようです。
厚生労働省の中に「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」というのがかつてありまして2015年の8月から2016年2月にわたって、これまで8回開催されました。冒頭で挙げた等級判定のガイドライン(日常生活能力の判定平均と程度のマトリックス)もこの専門家検討会で運用が決定されたものです。また、最後に行われた2016年2月の資料を見るとガイドライン施行時において障害基礎年金及び障害厚生年金を受給していた方の再認定にあたっては、ガイドライン実施前の認定も障害認定基準及び認定医の医学的知見に基づき認定されたものであること等を踏まえ、受給者の障害の状態が従前と変わらない場合については、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする。とあります。これにより、一応は今後傷病休業から本格的な傷病休職に移行しても、障害の状態が変わらなければ、支給停止を不安視することはないのかなと思っています。

【参考資料】
精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第8回)議事録
【資料2-1】等級判定のガイドラインについて

この専門家検討会での決定事項のフォローアップ調査として2020年に厚生労働省年金局と日本年金機構の合同調査により発行された「障害年金の業務統計等について」という資料によると、確かに更新時の再認定の90%以上は、再認定前後で障害等級か継続している、という事実が確認されています。
再認定における区分 【参考資料】障害年金の業務統計等について

これから申請される方に助言はありますでしょうか?

障害当事者の個人が、ネットやTwitterで根拠なく語っている自身の体験記は参考程度に扱って、全ては信用しないで下さい。中には明らかに事実と異なる情報であるにも関わらず、発信者が多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーだと、それが事実としてまことしやかに拡散している場合が散見され、苦々しく思っています。そのため、今回このインタビューを受けるにあたって、個人の感想だけでなく、客観的なエビデンスに基づいたデータを出来るだけ多く示すようにしました。それが新規裁定時の等級決定のガイドラインや、再認定における決定区分の情報です。
よくネットやTwitter上では「高額年収だと障害年金は受給出来ない」という話を聞きます。中には、社労士が運営するウェブサイトでもそう語られているものがあります。これはちょっと言葉足らずなままで情報が流布してしまっていると感じています。そもそも新規裁定の際に提出する書類には源泉徴収票など、年収を証明する書類はありません。診断書には「ひと月の給与」という欄があるだけです。ここも基本給なのか、総支給額なのか手取り額なのか、具体的な規定ありません。ウソでさえなければ、どの金額でも構わないと解釈し、私は手取り額の30万円と記載しました。障害者雇用としては高額な方だとは思います。
私は去年の9月から傷病休業になり、現在までずっと就労不能状態が続いています。これ自体は紛れもない事実ですが、傷病休業に入る直前までは体調不良を我慢しながら、直前までフルタイムで働いていましたし、月によっては数時間レベルですが残業もしていました。また去年は休業日の殆どが有給休暇期間中だった結果、令和3年度の障害者雇用であるにも関わらず年収が約610万円となり過去最高額を更新しました。それでも新規裁定は通り、本当は2級と判定されたかったという思いはあるものの、支給決定自体はされました。但しこれは決して例外ではなく、適切に申請したからこその結果だと思っています。逆にいうと、適切さが足りなかったので2級ではなく3級になってしまった、という反省点でもあると言えます。雇用体系が障害者雇用であったこと、居宅介護を受けながら在宅勤務で何とかギリギリ働いていたこと、直属の上司がジョブコーチ代わりに業務サポートしてくれて、週1回の定期面談をしてくれていた点などが評価されたのだと思っています。単純な収入額ではなく、単独では就労が出来ず、多くのサポートに支えられた結果就労を限界まで続けていた、その結果無理がたたってしまい就労不能に陥ってしまったのですが、この一連の経緯も評価ポイントだったのだろうと考えています。
一度新規裁定が通ってしまえば、再認定は就労の困難さが引き続き同程度で継続していれば、等級変更は行わない事と定められているので、年金受給後に復職したとしても、その点さえ診断書を主治医に更新して頂く際に注意すれば、障害等級は維持可能だと思っています。 これから申請される方への助言からは外れるのですが、障害年金の申請を過去2回経験して思ったことは、本人申請と社労士の代理申請で、支給決定率に差があるという点は、本来は問題点として広く認識されなければいけないのではないでしょうか。社労士の本来の業務は、申請者の代筆で本人が頑張って書類を集めて申請した際、本来は年金事務所の窓口が受理する前に仮チェックを入念にしたり、障害認定を審査する際も診断書の表現にあいまいな点があれば、減点法で評価を削っていくのではなく、診断書を作成した主治医に問い合わせを入れるなどして本来の適切な等級で決定されたり、非該当決定がなされないようにされるべきでなければいけないのではないでしょうか。
年金機構に対しては申請を厳しく拒絶するのではなく、申請者が申請するに至った背景なども考慮した上で、出来るだけ多く拾い上げる姿勢に変わってくれたらいいのになと思いました。

POINT

チェックマーク傷病手当金と障害年金の二重取りは出来るものの、障害年金の給付額分、傷病手当金が相殺される

チェックマーク社労士に申請書の依頼をすれば、自力申請時のような書類不備による不支給や下位等級での決定を避けられる場合もある。